トラウマとPTSD:心の傷の日常への影響
トラウマとは、心の傷であり、医学的には心的外傷として定義されます。学術的な議論は置いておいて、日常生活に及ぼす影響や対策に焦点を当てたいと思います。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、トラウマが病的な状態になったものです。
例えば、交通事故に遭った場合、その出来事を思い出すと辛い気持ちになりますが、時間が経つにつれて薄れていくようであればトラウマといえます。
一方で、その出来事を思い出すと、まるで今、目の前で起こったかのような感覚に陥り、日常生活に支障をきたすような場合、それはPTSD(心的外傷後ストレス障害)とされます。このようにざっくりと分けることができます。
複雑性PTSDと発達性トラウマ:心の傷の多様な表現と診断の複雑さ
交通事故などの大きなストレスフルな出来事が一度あった場合のPTSDが「単回性」と呼ばれるのに対して、日常的に虐待や精神的な屈辱を受けた場合に出る症状は「複雑性PTSD」と言われます。
医師の診断とカウンセラーの見立てには少し差異があります。
診断基準には少し当てはまらない部分もありますが、辛い幼少時代を過ごしたことで自信が持てないなどの症状も含まれます。それらは発達性トラウマと呼ばれることもあります。
愛着障害からSE™療法まで:当ルームでのカウンセリングとトラウマの複雑さ
当ルームを訪れてくださる方のお悩みは夫婦問題、子どもの問題、親との確執、職場での人間関係などがほとんどですが、伺っているとベースに愛着障害があり複雑性PTSD・発達性トラウマがあると感じることが多くあります。
PTSD、複雑性PTSD、発達性トラウマ、愛着障害、AC(アダルトチルドレン)、ASPなどは、症状が類似しており、診断が難しいとされています。
また、この中には診断名にはない症状が多く含まれていますので、病院に行って「あなたはAC(アダルトチルドレン)です」と言われることはありません。
ですが症状を理解する言葉として病名以上に世間に浸透していることも事実です。
カウンセリングの場では特定することが必ずしも意味があるとは思っていません。特に当ルームでもっとも多く扱っているSE™療法は、身体症状に表れている神経系へのアプローチになるため、未解決のトラウマがあることが手掛かりになるのです。
心理療法の選択とトラウマへのアプローチ:CBTからSE™療法へ
心理療法にはさまざまなものがあり、カウンセラーにより得意とするものは多岐にわたります。
例えばクライエントが対人関係で困っている場合を想定しましょう。
世界中でもっとも普及しているCBT(認知行動療法)を用いることで目の前の問題は解決することは可能でしょう。
ですが未解決のトラウマを抱えていることが原因で、さまざまな症状が出ている場合にはそこに着目する必要があります。
トラウマが放置されたままだと、後々問題が起こる可能性があるからです。
例えば
・独身時代の対人問題はCBT(認知行動療法)で切り抜けられたけれども、
・結婚をして夫の家族との絡みで辛い気持ちが出てきた、
・出産をして子育てが始まった途端に悲しい気持ちが溢れてきた、などです。
そのため、当ルームではSE™療法を取り入れています。このアプローチは、神経系に残存するトラウマにアプローチするもので、根本的な問題に対処するためのものです。
問題が解決しない方は 銀座カウンセリングルーム こころね工房へどうぞ。お待ちしています。
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