自分を厳しく律することの誤解
筆者は心理学に出会うまで、自分を大切にすることができませんでした。
当時は、失敗を避けるために自分を厳しく点検することこそが、自分に対する最も重要な行為だと信じていたように思います。
他人からの指摘を受けない自分でいることが大事だと考え、他者からの非難を極端に恐れていました。
向上心と他者の目を気にすることの違い
一見すると、それは自分を律している姿に見えるかもしれませんし、こうした態度を肯定する方もいるでしょう。
また、「それは向上心の表れだ」と言う人もいますね。
しかし、向上心から自分を律することと、他人の目や非難を恐れるあまりに自分を点検する行為の違いは何でしょうか?
愛着障害と自己評価の影響
愛着障害のある人は、幼い頃から親の顔色をうかがいがちです。
本当は遊びたいのに、お母さんの機嫌が悪いためにお手伝いをするなど、行動の原動力が恐怖心や承認欲求に基づくことが多くなります。
これは、自分の本心を抑え、他人の感情を優先する行為です。
愛着障害が生み出す大人の「見えない苦しみ」
こうして育った子どもは、大人になっても周囲の人の機嫌や自分への評価を過剰に気にするようになります。
このような行為を繰り返していると、自分が何を望んでいるのかわからなくなってしまいます。
例えば、「本当は遊びたい」という気持ちを持ち続けるのがつらいため、その気持ちに気づかないように心を閉ざしてしまうのです。
そして、親の願望と自分の願望の区別がつかないまま大人になるのです。
そうせざるを得なかった時代には、それが最善の方法だったかもしれませんが、大人になってからもそれを続けることは、いずれ心にひずみを生じさせます。
親の希望と自分の希望の違いに気づく
親の希望を自分の意志と勘違いして努力してきた人は、望みが叶っても大きな喜びを感じません。
親が喜んでいる姿にホッとすることはあっても、心からの達成感は得られず、自分を褒めることもなく、次第に疲弊してしまいます。
自分の希望を叶えている人は元気!
一方で、愛着がしっかり根付いている人は、自分の向上心に基づいて自分を律しています。
失敗してもくじけず、自分を適度に褒め、認めることができるため、目的を達成した際には自己肯定感が高まり、失敗してもマイナスにはならず、エネルギーが常に豊富です。
自分の希望に気づくための第一歩
自分を大切にするということは、自分の感情に気づくことでもあります。
まずは、「それは本当にあなた自身の望みか?」と問いかけてみましょう。
もし答えが出せないなら、親の期待に応える過程で自分の気持ちをシャットアウトして、麻痺しているのかもしれません。
このように、親の期待に応えることを自分を認める基準にしてしまうと、社会に出た時にも上司からの評価や同僚より良いパフォーマンスを意識するあまり、疲れてしまいます。
愛着障害を知り、自分を大切にする道へ
もしこうした自分に気づいたら、愛着障害について知ってください。
思い当たることがあるかもしれません。少しずつでもいいので、自分を大切にする人生へとシフトしていきましょう。
問題が解決しない方は 銀座カウンセリングルーム こころね工房へどうぞ。お待ちしています。
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