SE™療法では、心地よい感覚や安心できるイメージを通して神経系をケアします。
思考ではなく身体からトラウマを癒す新しいアプローチです。「心地よさ」を感じることが、身体に残るトラウマ反応を穏やかにし、自然な回復を促します。
なぜSE™療法では「心地よさ」を大切にするの

SE™療法では、セッションの中で「心地よいもの」「好きなもの」「安心できるもの」を思い描いたり、手にしていただくことがあります。
クライエントの方からは、「それはつらい気持ちを紛らわせるためですか?」というご質問をよくいただきます。
確かにその効果もありますが、実はもっと大きな目的があります。
それは、神経系のケアを行うことです。
思考ではなく、身体に残る「記憶」にアクセスする

「ストレス」や「トラウマ」という言葉を聞くと、多くの人は頭の中で状況を思い浮かべるのではないでしょうか。
「上司に叱られた」「仕事で失敗した」「夫に怒鳴られた」「子育てがしんどい」「親が理解してくれない」など――
これらはすべて、大脳(大脳新皮質)での“思考”です。
しかしSE™療法が注目するのは、その下にある脳幹です。
脳幹は爬虫類にも存在する原始的な脳で、時系列や文脈を理解せず、感覚として体に記憶します。
身体で感じる怒りや悲しみ、恐怖、喜びなどは、この脳幹に刻まれています。
「昔のことなのに、体が反応する」そのしくみ

たとえば、昔の恋人と別れたときに聞いた音楽を、何年か経って耳にすると胸が締めつけられるように感じることがあります。
頭では「もう過去のこと」と理解していても、身体はその悲しみを覚えているのです。
また、幼い頃に小言の多い親御さんに育てられた方が、大人になってからも親世代の人を前にすると体がこわばったり、声が上ずってしまうこともあります。
そうしたとき、たとえ今が仕事中であっても、涙が出そうになったり、頭の中が真っ白になったりすることがあります。
これは、未消化のトラウマが「今起きている」と勘違いしている身体の反応なのです。
SE™療法が目指す「神経系の癒し」

こうした身体の反応に働きかけるのが、SE™療法です。
セッションでは「心地よい」「安心できる」体験を意識的に取り入れることで、神経系が落ち着きを取り戻し、トラウマ反応を穏やかにしていきます。
それは、身体に向かって「もう終わったよ」「いまは大丈夫だよ」と伝えるようなものです。
トラウマケアはセッションルームで丁寧に行いますが、日常生活の中でも、自分にとって心地よい時間を大切にすることで、神経系は少しずつ癒されていきます。
以前にもご紹介しましたが、ご自身で取り組んでみたい方は、以下の書籍なども参考になるでしょう。
SE™療法のベースとなるポリヴェーガル理論に基づいており、簡単に家で実施できるものばかり掲載されています。

問題が解決しない方は 銀座カウンセリングルーム こころね工房へどうぞ。お待ちしています。
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