子育て中は誰もが子どもにイライラした経験があるのではないでしょうか。
とくにお母さんが疲れている、パートナーとケンカをした、仕事でトラブルがあった等ストレスの負荷が大きくなると、ままならない子どもに対してイライラは募ることでしょう。
ただ、そのように理由がはっきりわかる場合ではなく、
悲しくなったりイライラしたりすることがあったら、
それは『赤ちゃん部屋のお化け』が関係しているかもしれません。
そうだとわかれば解決に向かうことはできるのです。
赤ちゃん部屋のおばけとは

これはフライバーグというシカゴ大学の児童精神科医が言った言葉です。
要約して簡単にご説明すると
【赤ちゃんの誕生と毎日の発育は母親に忘れていたはずの、無意識の乳幼児期記憶を思い出させる。
幸せな乳幼児期の体験を持つ母親は赤ちゃんを抱きながら幸せな情緒に満たされるが
不幸な体験を持つ母親は、赤ちゃんの泣き声や要求に
思わず得体のしれない苛立ちや不安を覚え
人には説明のしようのない葛藤に苦しむ。
それはまるで忘れていた過去の亡霊が現れるような深い不安である。
そのことをフライバーグは「赤ちゃん部屋のおばけ」と名付けた。】
ということなのです。
幼少期の環境により捉え方が違う

幸福な幼児期体験を持つ母親は
子どもの夜泣きが続く
わがままばかり言って困らせる
ご飯を食べない
人前で駄々をこねる、等
大変な日々が続いたとしても、
自分自身が小さい頃にそれを親から赦され、大目にみてもらった経験があると、
「はいはい、イヤなのね。」
とあまり深刻にならずに、通過することができます。
でも、ご自身がそれを赦されずに
厳しくしつけられた
叱られた
母親不在だった
虐待を受けた、等
赦される経験をせずに育つと今、目の前にいる子どもが、過去の自分の姿と重なってしまい、えも言われぬ不安な気持ちに落ちていってしまうのです。
子育てを通じて蓋をしていた感情が出てくる

あるいは、まだ物事の分別のつかない幼児が、わがままを言ってくることがあるでしょう。
「ご飯の時間なのにまだまだ遊びたい」
「お母さんはずっと私と遊んでほしい」
「まだ寝たくない」
「お友達とずっと一緒にいたい」…
客観的には年齢特有のかわいらしいわがままであっても
幼少期に辛い体験があるお母さんは
その子どもの態度が自分を責めているように感じたりします。
逆に、抱いてもらいわがままを許してもらえる我が子に対して
「私はしてもらえなかったのにあなたはずるい」
と羨ましさや憎しみ、といった感情が出てきてしまうことがあるのです。
ご自身を責めないようにしましょう

そういった不安定な日々が、
子育ての場合は365日、24時間続くわけですから
お母さんは疲弊し切ってしまい思わず手を上げたり、怒鳴ってしまったりすることもあるでしょう。
そして多くのお母さんは、そのことで自己嫌悪に陥り、ご自身を責めてしまいます。
幼少期に、なんらかの理由で辛い経験をされてきたのに、
幸せを思い描いていたはずの子育てで
さらに傷口に塩を塗るような悲しい思いをされて、
追い討ちをかけるように自分を責めるとしたら、本当に辛いことです…。
ご自身を癒してあげましょう

そのような方は
ご自身の親御さんに対する感情に対して
「あれは過去のこと」とか
「終わったことをいつまでも気にするのは変」
などとは思わないでくださいね。
あなたが感じている以上に、心の傷は大きいのです。
軽い傷なら大人になるまで持ち越したりはしません。
これまで蓋をして押し殺してきた感情が、子育てを通して出てきているのです。
もうこれ以上、その感情をスルーしたりせずに
「いままでよくがんばったね」
「辛かったね」
「楽になろうね」
と声をかけていただきたいと思います。
辛かった気持ちを十分に汲み取って、大人になったあなた自身が癒してあげることは可能なのです。
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