日本は2021年から超高齢社会に突入しました。超高齢社会とは高齢化率が21%を超えた社会のことです。実に5人に1人以上は65歳以上ということになります。
幸せで充実した高齢時代を過ごすためには、生活資金や健康など多岐にわたる準備が必要ですが、ここではメンタル面に焦点を当てて考えていきます。
超高齢社会に生きること
『超高齢観測所』さんの調査によれば、高齢者の生きがい上位3位は以下の通りです。
1位・・・趣味の時間
2位・・・夫婦や子ども、家族との時間
3位・・・特になし
この「趣味の時間」の内容を見ると、音楽や読書、物理数学の勉強、若い頃からの趣味である絵画、昆虫を卵から飼育して羽化させることなど、本格的なものも含まれています。
筆者の印象としては、暇つぶし的なものよりも若い頃からの延長としての趣味が強いというところです。
過去の平均寿命
日本人の平均寿命は男女ともに80歳を超えており、女性は90歳に近づいています。
しかし、100年ほど前の明治・大正時代の平均寿命は44歳であり、現在はほぼ倍の年齢になっています。
前例やお手本がない
つまり、短期間で医療技術や健康志向が高まったことにより、老後の生き方の前例やお手本がほとんど存在していないと言えるでしょう。
寿命が70歳の時代であれば定年退職後の余生は5年程度なので、
趣味を堪能して天寿を全うするということになりますが、90歳となると25年もの長い時間があるため、「ちょっと待てよ」となります。
暇つぶしには長すぎる余生
このように、暇つぶしで過ごすには長すぎる老後が待っているのです。
先ほど述べたように、この期間を充実して過ごすためには、趣味の域を超えたより専門性の高いもの、より社会性を帯びたものが長続きするようです。
それを見つけるのは定年退職後よりも、もっと早い段階である40代が良いでしょう。
なぜなら、これは単に老後の生き方というよりも、その人自身の生き方に関わることだからです。
より社会性を帯びた生きがいを40代で探す
なぜこの年代なのかというと、心理学者のユングは「人は40~50代の頃に人生の危機を体験することが多いが、その時が後半の人生を考える大切な時」と言っているからです。
人生の危機とは、大病、離婚、家族との別離、リストラ、転職、子の非行、不登校などです。
それまで順風満帆と思われた人生の転換期にこのような大きな危機が訪れることが多いのです。
その時にこれまでの人生を振り返り、この間に切り捨ててきたもの、影に追いやってしまったことに光を当て、それを補完する人生を選択することで、人生の統合へと向かうとされています。
切り捨てて影に追いやったもの
ユング派心理学者のアラン・R・チネンは『成熟のための心理童話』の中で、
「ユングの観察によると、若いときは性格のある面を抑圧するか否定するように強いられる。
たとえば少年は普通、優しすぎることを推奨されないので、自分の同情的な部分を抑えることを学ぶ。そして、その部分は無意識に潜む。」
と言っています。
それらを無視して人生後半も男性性だけを優位に進めると、人生の最終章では「絶望」が待っているというのはエリクソンという学者の考えです。
次回は切り捨てて追いやったものについて具体的に考えていきましょう。
問題が解決しない方は 銀座カウンセリングルーム こころね工房へどうぞ。お待ちしています。
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