前回は、長い老後の人生を充実させるためには、単なる暇つぶしの趣味では不十分であるという話をしました。
そして、趣味を超える何かを見つけるヒントとして、これまでの人生で切り捨ててしまったもの、あるいは影に追いやってしまったものを探すことが大切であり、それはその人の生き方にも通じる大切なこととお伝えしました。
では、どうやって自分が切り捨てて影に追いやったものを見つけるのでしょうか?
そのヒントを心理学的な視点からお伝えします。
ユングの「人生の正午」

今回は、ユングの「人生の正午」についてお話しします。
ユングは人生を1日の太陽の運行に準えて、40歳を人生の正午としました。
そして正午から死ぬまでの後半の人生をどう生きるかが大切だとしています。現代では寿命が延びているため、正午を50歳くらいにしても良いでしょう。
誕生から青年期までは、太陽がぐんぐん昇り、生気に満ち溢れる時代です。
社会人となり、結婚して家庭を持ち、家を購入したり出世をしたりする華々しい時代です。
午前がこのように外向きの生き方だとすれば、正午以降は自分の内面に向かう生き方と言えます。
これまでに切り捨てたもの、やむを得ず断念したもの、影に追いやった本当の自分の心や感情に気づき、それらを陽の当たるところに出すことが求められます。
「中年クライシス」はチャンス

その追いやったものを探す契機となるのが「中年クライシス」です。
子育ても落ち着きやれやれという年代にリストラ、大病、離婚、大切な家族との別れ、子どもの非行など、さまざまな形でそれはやってきます。
人は日々が順調に進んでいる時はなかなか我が身を振り返ることはできませんが、このような事態に出くわすと多くの人が「自分の人生」を振り返るのです。
実際に、病床でこれまでの人生を振り返ったという話をよく耳にします。私は、病気は辛いですが、まとまった時間を取れる贅沢な期間と捉え、大切に使いましょうとお伝えしています。
あなたにとっての『ひまわりちゃんの光り物』を探す

探すヒントとしては「小さい頃から惹かれる何か」があれば、そこからスタートすると良いでしょう。
例えば、アニメ『クレヨンしんちゃん』の妹ひまわりちゃんは光り物が大好きでした。
あなたにとってのそのようなものが見つかるでしょうか?
以前、ひまわりちゃんと同じく光り物が好きだった方が、ビジネスマンを辞めて水晶に関連した個人事業を始め、成功されたことがありました。
その方も人生の岐路に立った時に光り物を思い出されたそうです。
筆者にとっての『光り物』は紙の匂い

筆者自身も40代で中年の危機を経験し、小さい頃から好きだったものを探したところ、それは「本を開いた時の紙の匂い」でした。
そこから内省が始まり、これまでの人生で自分に自信が持てず向学心を影に追いやってきたことに気づいたのです。
以降の後半の人生は、男性性優位な外向きの生き方へと変化し、こうして銀座でルームを開くに至りました。
このように、午前と午後の人生は真逆になることが多いと言われています。

体で感じる感覚は、最大の助けとなるエールなのです。
これは、当ルームが現在もっともよく扱っているトラウマケア、SE™療法とも通じる考えで、大脳に記憶されたストーリーとしての考えに頼りがちな現代人にとって、身体感覚を頼りに自己に迫る大切な概念です。
あまり良くない例としては、会社社長として成功を収めた方が、人生の岐路に立っても内省することなく、利潤追求に明け暮れるような生き方をした場合、人生の統合に向かうことは厳しいでしょう。
問題が解決しない方は 銀座カウンセリングルーム こころね工房へどうぞ。お待ちしています。
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