人は周囲の人に大切に扱ってもらうという経験を経ることで、自分のことを大切にできるようになります。
逆に言うと大切に扱ってもらえなかった人は、大人になっても自分を大切にすることが感覚としてわからないと言えるでしょう。
「きっとこうかな?」「ああかな?」と想像をしてもピンとこないかもしれません。
また、大切にされなかった方はそれだけではなくて、心に傷を負う体験がある場合が多いのです。
そのため今はもう大人になっていて、傷を負う環境下ではなくなっていたとしても、過去の心の傷があるため自分を大切にできないのです。
自分の意見を笑われる経験
例えばご家族で旅行先を決める際の団欒の場を思い描いてください。
大きな子どもたちはこれまでの経験値がありますから
「去年は山だったから今年は海がいい」など希望も的確に出てきます。
そんな時に年の離れた子どもが1人いて
「ボクは動物園がいい」と言ったらどうでしょうか?
年上の子が
「ばっかみたい。それは旅行じゃなくてもいつでも行けるでしょ」と言ったとします。
他のきょうだいも親御さんも大笑いをして済ませてしまったとしたら
その子は大切に扱われる経験をすることはできず何か自分の意見を言うことに苦手感を持ったり、恥の気持ちを募らせることになるでしょう。
大切に扱われる経験を積む
そんなときは
親御さんが
「〇〇くんは動物園に行きたいのね」
「動物園楽しいわね」
「旅行先にも動物園があったら行けるといいわね」等、
意見は意見として共感を示し肯定することで、
たとえば旅行先に動物園がなかったとしても、尊重され大切にされる経験を積むことができます。
小学校の低学年くらいまでの年齢はまだ、地理的な概念の勉強はしませんので、自分の中の距離感などはつかめていない時期です。
ですからわからなくて当たり前なのです。
それがわかるようになっている年上の子どもに
「大きくなったのでわかるようになったのね」
「○○君はまだそれをお勉強していないのよ」
と伝えることもいいですね。
そうすると小さな子どもは
「そうか、ボクにはまだわからないことなんだ。大きくなったら知ることなんだ」
となんとなくイメージし始めます。
そのことが勉強への興味につながることもあるのです。
恥の後遺症はずっと続く
それが、もし上述したような恥の記憶で終わってしまうと、知ろうとする意欲すら失ったままになってしまいます。
また「旅行」「地理名」などのワードに恥や悲しみのイメージを重ねて嫌悪するようになるかもしれません。
それは旅行のことだけにとどまらず、物事全般に対する意欲の低下にもつながるのです。
そう考えると、ご家庭での日常会話というのは大切ですね。
自分を大切にできないという大きな課題に思える問題が、実はこんな些細な日常の生活の中で良くも悪くも培われてしまうのです。
残念ですが
希望の旅行先は動物園と言ってしまって、
皆に笑われた子どもは
その後、自分の意見を出すことに躊躇する癖がついたり、それが募って
「自分なんてろくでもない人間なのだ」
と卑下する気持ちを抱くようになるかもしれません。
思い当たることがあったら改善しましょう
カウンセリングの中で、
「意見を言うことができない」
というお悩みを伺っていくうちに、
意外と上記のような些細とも思える日常の出来事に突き当たることがあるのです。
もしこれをお読みいただいている方が子育て中の方でしたら
そんな点に気をつけていただくといいでしょう。
そしてそれができない、あるいは子の間違いを指摘してバカにしてしまうような感情があふれてきたとしたら、
それはあなたご自身が上記のような養育環境で育った可能性がありますので、それが辛い思い出であったことに気づくところから始めてください。
そしてできればカウンセリングを受けることをお勧めします。
問題が解決しない方は 銀座カウンセリングルーム こころね工房へどうぞ。お待ちしています。
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